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病気のおはなしブログ

病気のお話シリーズ vol.12 "口腔内腫瘍"                                2016.5.2
今回の病気のお話しブログは、腫瘍科の田戸先生から
『口腔内腫瘍』に関するお話です

今回も、あまり目にすることの無い、口の中の
様々な腫瘍の写真があります

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犬や猫にとって、口は食事や作業をする大事な器官です
しかし、悪性の腫瘍が出来やすい場所にもなります

もし腫瘍が出来た場合は、急速に増大し出血や感染を
起こしやすいので生活の質が大きく損なわれます。

人間は歯に物が挟まっただけでも凄く気持ち悪くなり
異常には気づきやすいのですが、犬は非常に
鈍感なので進行した状態で発見されます


猫は犬よりも口の異常には敏感なのですが、猫の口に出来やすい
扁平上皮癌は、急速に進行するので初期に対応することが難しいです

         扁平上皮癌



犬の口の中に出来やすい代表的な悪性腫瘍としては
悪性黒色腫(メラノーマ)、扁平上皮癌、線維肉腫
代表的なものですが、
それぞれ非常に個性的です。
また出来る場所(上顎、下顎、舌、扁桃)によっても腫瘍の進行は様々です。

               
悪性黒色腫(メラノーマ)

        
          扁平上皮癌

        
           線維肉腫


悪性腫瘍以外に、良性のエプリス(歯肉腫)もありますので
診断は組織を取って調べることが重要です。

  良性のエプリス(歯肉腫)


中でも、悪性黒色腫(メラノーマ)は、小型犬で最もよく見られ
これは急速に増大して壊死と出血を起こし、転移する能力も
持った最も攻撃的な腫瘍です


小さいうちに外科的に対応することが効果的ですが
骨にも浸潤するので、口の骨も含めた切除が
必要となる事が多い腫瘍です。

    下顎を含めメラノーマを切除


       線維肉腫切除前               線維肉腫切除後


出来る場所や範囲によって手術の難しさや術後の様子が
異なりますので、どのようになるのかは実際に診察してみないと
分かりません。

口の中を見るのは大変かと思いますが、チェックしてみて
何か出来物を見つけたら動物
病院に行って検査を受けてください


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病気のお話シリーズ vol.11 "角膜潰瘍"                                 2016.3.30
今月の病気のお話ブログは、眼科の小山先生から
『角膜潰瘍』に関するお話です

この後、角膜潰瘍の痛々しい眼の写真がたくさんあります

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今回は眼科の担当です。
白内障、緑内障に引き続き、角膜潰瘍(角膜の傷)について
お話したいと思います。

病気のお話をする前に、角膜についての基本的な話をしたいと思います

角膜は眼球の前面に位置し、映像を網膜に届けるために透明性であり
眼球内容物を守る強い膜として存在しています。
そのために角膜は約0.5mmという
薄い膜であるにもかかわらず強度があり
コラーゲン線維がきれいに密に並んでいる構造をしています。
角膜は表面から上皮、実質(コラーゲン線維)、
デスメ膜、内皮の四層から
なっています。



眼の疾患の中でも角膜潰瘍はよく見られる疾患です。
一概に潰瘍と言っても、その程度は様々で、

軽いものから、上記の上皮(一番上の層)までの潰瘍を
  
『表層性潰瘍』


実質まで到達した潰瘍を
  『中層性~深層性潰瘍』


デスメ膜まで到達した潰瘍を
  
『デスメ膜瘤』


角膜に穴があいた状態を
   『角膜穿孔』
といい、視覚を喪失する可能性がある
    重篤な状態です

      
それとは別に、
角膜のコラーゲン線維が融解した(溶けた)状態の潰瘍を 
  『融解性潰瘍』と言います。


どの潰瘍も痛みや充血、眼脂が認められ、治療が必要な状態です

しかしながら特に危険な状態は、既に角膜に穴があいている状態の
角膜穿孔穿孔する危険があるデスメ膜瘤進行が早い融解性潰瘍です

それ以外には見た目的には重篤な潰瘍に見えなくても、
数週間から数ヶ月間
治らない
  『自然発生性慢性角膜上皮欠損(SCCEDs)』などがあります。


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『角膜穿孔』

角膜に穴があいている状態ですので、眼球内にあるもの
(主には前房水と
言われる眼の中の液体)が眼の外に
出て来ます。
液体だけでなく、虹彩
(瞳を形づくる茶色い膜)や中には
水晶体などが出てくることもあります。

眼の中の構造物が出てくることはもちろん大変なことですが
液体だけでも
出て来た場合には、眼球が虚脱し、眼内出血や
網膜剥離、将来的に緑内障を
引き起こし、失明にいたることも
あります。
出来るだけ速やかに、穴を塞ぐ
手術が必要になります。
(もしくは自然に穴が塞がるのを待ちます。)

『デスメ膜瘤』

角膜潰瘍が深くなり、内側の薄い膜しか残っていない状態です。
何時なんどき角膜に穴が開いてもおかしくない状態です。
角膜穿孔した場合には、失明の
危険が高まるため、安静にして
出来るだけ穿孔する前に潰瘍を修復することを
お勧めします。

『融解性潰瘍』


細菌感染やその他の要因で、角膜のコラーゲン線維を
溶かす酵素が働き、固い角膜を柔らかく消化し、溶かして
いく状態です。
進行が早いことが特徴で、
半日で角膜が真っ白に混濁し
柔らかくぶよぶよした状態になることもあります。
特にシーズーやパグ、ペキニーズなどの短頭種は融解性
潰瘍を起こしやすいので要注意です。
酵素の働きを止め角膜の融解を止めないと角膜が穿孔
する
ことにもなりかねません。

SCCEDs(別名:難治性角膜びらん、無痛性潰瘍)』

角膜の表面の上皮が剥離した状態で、表層性潰瘍に
分類されます。

通常、表層性潰瘍は12週間で治癒するはずですが
いつまでも良くも悪くもならない潰瘍です。
この場合点眼だけではよくならないので、角膜表面の
外科的処置が必要になります。

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治療

角膜潰瘍の治療には、原則、点眼が必須です。
角膜には血管が存在しません
ので、飲み薬では十分に
必要な薬を届けることが出来ません。
そのため直接的に薬を届けることが出来る点眼薬が
必要になります。言い換えれば点眼できなければ治療が
不十分となります。
また点眼だけでは対応できないような状況(角膜穿孔や
デスメ膜瘤、SCCEDs)などの場合は手術や処置が必要となります。

         角膜穿孔の手術前           結膜をつかって角膜の穴を塞ぐ
                                                               手術後2ヶ月目

  

反対に、手術で対応できないような状態(角膜全体の融解など)では
点眼治療が重要な役割を発揮することもあります。
また眼を掻くことにより悪化する
場合には保護のためエリザベスカラーを
つけてもらう必要があります。

個々の原因や症例、経過などにより治療方法は様々ですので
しっかりとした眼科検査を受けてください。


角膜潰瘍は眼科の疾患の中でも、よく遭遇し、オーナー様でも
見つけやすい
疾患です。
早めに見つけて、早めに病院を受診するようにしてください


つね日頃から眼を見る習慣と点眼できるようになっておくことが
望ましいで
しょう

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病気のお話シリーズ vol.10 "動脈管開存症"                             2016.2.29
今月の病気のお話ブログは、総合診療科の澤木先生から
『動脈管開存症』に関するお話です

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総合診療科の澤木です。
今回は「動脈管開存症」という病気をご紹介させて頂きます。

動脈管開存症(PDA)とは
生まれるまで(胎生期)

赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる間、呼吸をしません。
お母さんの胎盤から酸素を取り込むため、赤ちゃんは出生まで
心臓から肺への血液の流れを殆ど必要としないのです。
よって、無駄な回り道をしない様にするため、大動脈と
肺動脈という太い血管同士をつなぐ「動脈管」という血管が
生まれるまで、どの子にも存在しています。



生まれた後(出生後)

生まれた後、赤ちゃんは肺を使って酸素交換をしなければならなくなり
自分で呼吸し始めると同時に、動脈管はすぐに閉鎖されてしまいます。



生まれた後も動脈管が開いたままの状態なのが、PDAという病気です。

少し細かいお話になってしまいますが、動脈管が開いた状態のままだと
大動脈という太い血管から全身に流れるべき血液が、肺動脈に流れて
しまいます。
結果、肺や心臓(左心房・左心室)に負担が掛かってしまいます


この病気自体は、雌での発生が多く(23)、チワワ、トイ・プードル
ポメラニアンなどの小型犬に好発すると言われており、猫は比較的
少ないと言われております


【飼い主さんから見て気付く異変(臨床症状)
はじめは全く症状を示さない子もいますが、心臓の機能が徐々に
低下してくると心臓への負担による咳、呼吸異常(チアノーゼ・
呼吸促迫)、元気がない、運動を嫌がる
などの症状が出てきます。

ワクチン接種や健康診断などで偶然見つかることもあります。
1歳までに70%が左心不全(=心臓の機能低下)を発症すると
言われています。


【診断】
心臓の聴診を含む一般身体検査、レントゲン検査、超音波検査
CT検査
などを用いて動脈管が存在することを確認します。
特に、聴診では「連続性雑音」と呼ばれる特徴的な雑音が聴こえます
はじめて獣医さんに連れて行くと、
獣医さんが聴診器を当てるのは
この様な生まれつきの心臓病を見つけるためです。
最終的に、超音波検査などを用いて、血液の流れる動脈管を
確認する
ことで、診断されます。

【治療】
動脈管が残った状態である事が、根本的問題であるため、外科治療が
可能で
あれば、手術が勧められます。
手術方法は、開胸して、閉じていない動脈管を直接閉鎖(結紮)する
方法が取られます。
ただし、症状が進行している場合は、手術可能な時期を逃してしまい
手術適応外となるケースもあります


【さいごに】

PDAは、「今は元気だから…」と、手術を遅らせていると病気が
進行して
しまい、手術ができなくなってしまう可能性のある病気です

頑張って手術を乗り越えられれば、他の犬と同様の生活が可能であり
寿命を全うすることができる未来に繋がる手術です


早期発見・早期治療が大事な病気であり、同時に、しっかりとワンちゃんを
診察してくれる「かかりつけの先生」の存在が非常に大切だと思っています。

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病気のお話シリーズ vol.9 "胆嚢粘液嚢腫"                              2016.1.21
今月の病気のお話ブログは、総合診療科の森下先生から
『胆嚢粘液嚢腫』に関するお話しです

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総合診療科の森下です。
本日は胆嚢粘液嚢腫という病気をご紹介させていただきたいと思います。

胆嚢とは
体の中にある胆汁という肝臓で作られる消化液をためておく袋です。
その胆嚢の中に胆汁でなく、ゼリー状の粘液物質が貯留することで
胆嚢が拡張し、かつ胆嚢の中に胆汁がほとんど貯留できなくなった状態
それが「胆嚢粘液嚢腫」です。




病気を理解するために胆汁の流れを理解していただきたいので
もうすこしややこしい説明を致しますと・・・・・

肝臓で作られた胆汁は
の径路を通って黒で囲った黄色い管総胆管に合流し
胆嚢管を通って胆嚢に貯留します。
そして腸で胆汁が必要となったときに
総胆管を通って腸に流れ込む。
これが正常な胆汁の流れです

胆嚢粘液嚢腫の状態では
への流れは遮断されますが
を介して腸に胆汁が流れていれば
無症状であることも多いです。

しかし炎症が生じたり、あるいは胆嚢の中のゼリー状物質や
胆石が総胆管に詰まっていまいますと状態がぐっと悪く
なってしまいます

急性の嘔吐や発熱、黄疸などで見つかる場合が多く、
治療介入が遅れた場合には最悪死の転帰をたどることもあります。

状態が悪くなった原因は胆嚢粘液嚢腫なのですが、
状態の悪さは、胆嚢炎や、胆嚢破裂、総胆管閉塞、
膵炎などの併発疾患の影響が非常に大きいというのが
この疾患の特徴になります。

          
        <無症状の胆嚢粘液嚢腫>


  
    <周囲に炎症が波及した胆嚢粘液嚢腫>


   
   <黒いもの(ゼリー状の胆泥であったり
   胆石であったり)により
総胆管閉塞を起こし、
   肝管の拡張と胆嚢破裂を起こしている模式図>



実際の治療に際しては
血液検査、エコーおよびCTによる術前検査を行い
全身状態の判断、併発疾患の有無、状態を明らかとしたうえで
タイミングを見て外科手術を実施します。

内容としては
粘液状物質が貯留する胆嚢を切除する
総胆管の洗浄を行う
総胆管内の結石を除去するなど
いくつかのバリエーションがあります。

実際に治療したわんちゃんの写真をご紹介していきます。
一部手術中の写真もあるので、苦手な方はこれ以降はご遠慮ください

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         胆嚢破裂のCT画像になります
         頭側で破れていると判断致しました


  写真は手術中の写真です
  金属の鉗子で右にひっぱっているものが胆嚢
  その左側の黄色いものは破裂した胆嚢から飛び出てきた
  ゼリー状物質です。
  左が頭側です。


  切除した胆嚢(向かって右)です
  慢性の胆嚢炎が生じていたことを思わせる
  胆嚢壁の肥厚が観察されます。

  左にある黄色いものは飛び出ていたゼリー状物質です。



手術を含め、術前、術後の内科治療の甲斐あって、わんちゃんは
元気に帰っていただくことができました

胆嚢粘液嚢腫は内科的なサポートも重要なポイントとなってきます。
内科治療中は多くの場合一進一退となりわんちゃん、家族の方
そしてスタッフもきりきりとした緊張が続きます


大変ではありますが、乗り越えれば元気に過ごせる日常を
取り戻すことができるために、やりがいを感じつつ常々
診察に携わる日々なのであります。

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病気のお話シリーズ vol.8 "犬の前十字靭帯断裂 パート2"                   2015.11.30
今月の病気のお話は、整形外科の戸次先生からです
前回7月に、犬の前十字靭帯断裂 パート1をお送りした続きのお話です。

~。。。。。~~。。。。。~~。。。。。~~。。。。。~

ネオベッツVRセンター整形外科の戸次です。
今回の“病気の話”は、『犬の前十字靭帯断裂 パート2』です。

パート2では、前十字靭帯疾患の診断をお話しします。
前回も視診や触診に関しては、簡単に触れましたが、
患者様がVRセンターに初めて来院され、どのような検査を行い
診断するのかを、実際の診察の流れで解説します。


まず大型犬であれば駐車場(雨の日は室内
  小型犬は診察室内歩様や姿勢を観察し、
  どの程度の症状かまた他の問題がないかどうかを確認します

次に触診ですが、まずは起立した状態で膝関節の腫れや
  大腿骨と脛骨の位置関係を優しく触ります

  そして、前十字靭帯が機能しているかどうかの徒手検査として
  脛骨圧迫試験や脛骨前方引き出し兆候の有無を確認します。
  この時に痛みを発現することも多いため、できるだけ1回で
  終わらせようとがんばりますが、性格が怖がりやナーバスな場合は
  緊張して膝関節の不安定性を検出しにくいので、リラックスできるよう
  オーナー様にも頭を撫でてもらったりして協力していただきます



  膝関節触診風景
  (左右の膝関節の腫れや脛骨前方突出を確認している)



  膝関節触診風景
  (立位での脛骨圧迫試験)



触診の次は、X線検査を行います。
  X線検査の目的は、関節の変形具合(骨関節症の観察)
  対側肢にも同様の問題が隠れていないかどうか
  腫瘍性疾患がないかどうかの確認を行うことです。
  前十字靭帯部分断裂の初期は、触診でもわからないことが多く
  X線検査で疑診することが重要となります。


  X線検査は、2~3人で動物を保定し、膝関節の正面方向と
  側方向からの2方向を左右後肢で撮影します。
  診断に用いるX線画像は、通常無麻酔で撮影します。
  ただし、手術計画を立案するX線画像は麻酔下で撮影した画像を用います。


  X線検査風景
  (うつ伏せで膝関節を撮影しているところ)


  
  
膝関節X線画像

この時点で、多くのケースにおいて前十字靭帯断裂
(部分断裂を含む)の診断が下されます。

これらの検査結果をふまえて、次のステップとなる
関節鏡検査及び前十字靭帯の治療方法、予後などの
説明をさせていただき、初診当日の診察が終了となります


次回パート3では、麻酔下検査として関節鏡検査や
CT検査を説明していこうと思います


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